90号:『食べる』ことの第一歩は『かむ』ことから! 

子どもの成長には、健全な食生活、運動や睡眠といった生活リズムによって、生体バランスを 維持することが大切です。
健全な食生活とはどのようなものでしょうか?
栄養バランスだけでなく、しっかりかんで食事をすることや食事のリズムなどを考えることも必要です。
毎日の食事で『よくかむ』ことが口の働きを活発にして、その刺激が歯だけでなく顔や首、脳まで影響し、骨格や筋肉を成長させるのです。
この毎日の食事の差で、かむ力や筋肉の運動量は2倍も3倍も変わります。
『よくかむ』ことで顎、筋肉と骨を育て、安定した歯並びを整えることで、またそれがよくかめることへつながっていくのです。
毎日の生活で『よくかむ』『よい生活リズム』を意識することが大切 です。


良くかむと!

①唾液がでる—–虫歯を予防
食べ物が口の中に入ると、筋肉の働きとともに、食べものを飲み込みやすくするために唾液の分泌が 始まります。
その他の唾液の作用は、※歯や粘膜の汚れや菌を洗い流し、虫歯予防になる
※消化を助ける
※アレルギーや発がん性物質などを無害化する
しっかり噛むことで栄養が吸収できてからだの成長を助け、虫歯予防になり、さらに虫歯がないことでよくかめるようになります。

②筋肉が働く—–よい顔になる
口の周りの筋肉は『目』や『頬』の筋肉とつながっています。
しっかりかんで口を動かす、前歯でかむ、口を閉じることによって顔の筋肉が発達して『よい顔』へと導かれます。

③脳へ刺激がいく—–脳の機能の活性化
かむ刺激が脳を活性化し、脳の機能を高め、記憶力や集中力を高めます。
幼稚園児を対象とした比較研究では、よくかむ食事をしている児童はそうでない児童よりも計算能力が高いことが示されています。

④骨が成長する—–歯並びがよくなる
かむ筋肉で大きなものは2つあります。
1つはこめかみにある「側頭筋」、もうひとつは頬にある「咬筋」です。
6歳までに顔面の骨の80%が成長します。そのほとんどが頭と中顔面です。
残りの部分は10歳から下顎を中心に成長します。


噛むことで顎を成長させましょう

大人の歯(永久歯)は子どもの歯(乳歯)よりも大きいのが普通です。
生え変わりの時期に、乳歯に 隙間がなくびっしり生えているようであれば、永久歯の入るスペースがありません。
でも、かむ訓練をすればある程度、顎は自然に成長します。
顎が成長すれば、歯の入るスペースができます。

(それでも歯の入るスペースが足りなければ、機械的な矯正も必要です)


歯ブラシで感染予防!!

常在菌ってご存知ですか?
私たちの体には、「常在菌」と呼ばれるたくさんの細菌やカビ、ウイルスなどが住み着いています。
口の中にも多種多様な常在菌がいて、ときに驚くような悪さをするので注意が必要です。
常在菌は、お母さんの産道を通って生まれてくるときに、早くも住み着きはじめると言いますから、私たちと常在菌の付き合いは、誕生とほぼ同時に始まっているといっても良いでしょう。


プラークの中には・・・!!
それでは口の中には一体どれくらいの数の常在菌が隠れているのでしょう?
実ははこれは、人によって千差万別です。
綺麗にお掃除している人と、していない人では大違い だからです。
歯垢(プラーク)=常在菌のかたまりで、1g中になんと約100億~1,000億個もの常在菌がいます。
ちなみに糞便の1g中にも約1,000億個の常在菌が含まれています。
私たちが常日頃、いかに莫大な数の細菌、カビ、ウイルスとともに暮らしているかがお分かりいただけると思います。


悪玉菌の悪さを防ぐには・・・?
常在菌の中には、善玉菌も悪玉菌もあり、普段はそれぞれがお互いの勢力を牽制しあって、 人間の免疫力との均衡を保っています。
ただ、そのバランスが失われた時、悪玉菌が肺炎、心内膜炎、帯状疱疹、院内感染などの感染症 を引き起こす事があるのです。
普段は平和に共存してくれている常在菌たち・・口の外から入ってくる、風邪やインフルエンザのウイルスを、うがいや手洗いで予防するのは もちろん、口の中にすでにいる常在菌についても正しい知識を持ち、丁寧な歯磨きで感染症を 予防していきましょう。


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